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<<   作成日時 : 2007/11/29 22:25   >>

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「日本経済にいま何が起きているのか?」(岩田規久男)
豊富の中の貧困の説明「生産能力はあるのに働き口がない為、溢れるばかりにあるモノを買えない状態」が分かりやすかった(アフリカの最貧国のような生産能力が低い為にモノを消費できない貧困とは質が違う。この場合生産能力を高めるだけでは貧困や失業問題を解決できない)
デフレは不況をもたらすという説明「企業倒産が増え、それに伴い失業者が増加し、生産が停滞して生活水準も下がる」が分かりやすかった
生活の豊かさは、消費者物価(モノの価格)だけでなく、生活者の所得や資産との関係で決まるという説明が分かりやすかった(物価が上がっても所得や資産がそれ以上に上がれば生活は豊かになる。デフレの場合、物価が下がるが、所得も減り資産も目減りする傾向があるので生活は豊かにならない
デフレ下では企業にお金が余っている(売上高減少以上に設備投資にお金をかけなくなったから)という説明はボクには意外だったので驚いた(余った金は借金返済・銀行預金・投資・買収に使う「デフレ下の企業のお金の使い方」)
企業は土地を高く買って、バブル崩壊でキャピタルロス(値下がり損)をこうむる傾向で、土地を高く売って儲けたのは家計だったという説明はボクには意外だったので驚いた
日本のデフレの特徴
デット(借金)デフレーション「@デフレ下でカネの価値が高いのでA借金返済の為より多くモノを売ろうとするとB価格は下がるC価格が下がるとさらに多くのモノを売って借金を返そうとするのでDモノの価格はさらに下がる(物価の下落の順序。@デフレ下ではお金の価値高く資産の価値低い(土地や株は下がるが借金は目減りせず、資産(株・土地など)と負債(借金など)・資本の関係(バランスシート)が悪化する)のでA土地や株を売って借金返済しようとするとB資産の価格は下がるCそれらの価格が下がると今後も価格が下がるだろうと予想されD実際に売られてEさらに資産の価格が下がる(資産デフレの順序)」
*デフレ下で商品の価格が下がる以上に、費用が下がれば企業には利益が出る
 物価が下落するデフレ下でも、はじめの内はなかなか賃金は下がらず、実質所得が増える(今までの給料でもモノが安くなった分買える量が多くなる)
合成の誤謬「企業が価格下落を予想して商品を売ったり、値下がりを予想して土地や株を売る事は個々の企業からみると合理的な判断だが、経済全体としてみればデフレを激しくさせる事になってしまう(経済全体としては不合理な結果になる)。」(その為デフレを止めるには、企業の個々の改善ではなく、政府や日銀の力が必要になる)
インフレ傾向「おカネ供給増→増えたカネでモノを買う→モノの価格UP(カネの価値DOWN)」
「おカネ供給増→社債購入傾向(高い利子狙い)→社債需要>供給の為、発行金利は低利子で大量発行→社債発行企業は設備投資などでモノを購入→モノの需要>供給でモノの価格UP」
デフレ傾向「おカネ供給減→商品売却してカネ補充(企業)→モノの供給>需要→モノの価格DOWN(カネの価値UP)」
「おカネ供給減→社債買わない・国債他の会社の債権売却→社債価格DOWN・発行金利UP(?理由がイマイチ分からない)→社債発行減→設備投資減少→モノの供給>需要でモノの価格DOWN」
「おカネ供給減→社債の金利アップ(会社は社債発行するのに不利)→利率の低い銀行から借りる企業増→銀行貸出金利UP→設備投資等減少の為モノの需要DOWN→モノの価格DOWN(おカネの価値UP)」
「リストラ→賃金下降→家計の需要減→モノの供給>需要→モノの価格DOWN(カネの価値UP)」
資産インフレ「おカネ供給増→資産購入(高い配当・利子・資産値上がりうる為)→資産価格UP」
資産デフレ「おカネ供給減→資産売却(おカネの価値が高いのでおカネを持とうとする)→資産価格DOWN」
「収入を借金返済に回す→設備投資等減少→モノの需要減→モノの需要減がモノの供給減より多い 供給>需要→資産価格DOWN」
日銀当座預金「銀行が日銀に預けている預金」(おカネは銀行が日銀当座預金を引き出した時に「発行」になる)
AがBから商品を購入した場合。Aの銀行XはBの銀行YにBの口座へ入金依頼をする。Y銀行のおカネの減少分(Bへの入金額分)は、X銀行からY銀行への日銀当座預金の振替(X銀行から日銀へ依頼)で補充する(X銀行はAの口座からの出金分をAに返さなくて良くなるが、おカネが増加した分、XからYへの振替によってXの日銀当座預金が減少するので+−ゼロになる)
故に銀行は預金者の振込みに備えて日銀当座預金をもっていなければならない(預金者が予想外に預金を引き出した場合も当座預金をもっていないと対処できない。銀行貸出「借りた企業の預金は増える」・銀行の資産購入により預金の供給量を増やす時には日銀当座預金も増やさなければならない)
国債買いオペ「日銀が銀行から国債を購入し、支払いとして日銀当座預金を増やす事」反対は売りオペ
買いオペでおカネの供給量を増やす政策を「金融緩和政策」という
金融緩和政策の順序「買いオペ→銀行貸出増(預金の供給量も増)→貸出金利低下→家計や企業の借入増→おカネが市場に出回る」
コールレート「銀行が日銀当座預金を他の銀行から貸したり借りたりする時の金利」(日銀が買いオペしない場合、他の銀行から借りてくる事がある)
1990年代の日本のデフレの原因説明
1990年代初めの金融引締め政策で通貨供給量伸び率が急激に低下すると、地価と株価が暴落し、資産は急激に減ったのに負債(借金)は変わらないので、家計・企業・金融機関はバランスシートを著しく悪化させる(資産デフレ)。
*金融引締め政策「公定歩合引き上げだけでなく、売りオペも行なわれると金融引締め効果が出てくる。日銀が公定歩合引き上げの利率で銀行に金を貸す行為だけ行なう事はほとんどない」
1991年金融緩和政策に転換したが、不十分で、景気の拡大は少しにとどまる(デフレ下でも景気循環はあり、景気拡大になる場合もある)
1997年4月 消費税が3%から5%へUP・特別所得減税打ち切り・医療費負担増で9兆円の国民負担増加。又公共投資も削減され、デフレ傾向は益々強まる
いったんデフレになると@バランスシートが悪化しA人々は今後もデフレが続くと予想しB買い控え等モノの需要減少しCモノの価値が低い(カネの価値は高い)というデフレ傾向が益々強まる
人々の予想をインフレに変えるような大胆な政策を実行する事が必要だったのに1990年代には行なわれなかった(財政政策だけでは相当期間政府支出増と減税を続けなければデフレ脱却はできないが、それは不可能である。財政政策だけでなく、金融政策でも対処しなければデフレは脱却できない)
1990年代の経済の長期停滞は、デフレになるとともに、人々にデフレ予想が定着した為であった。そしてデフレ予想定着を覆すような大胆な金融政策がとれなかった事が原因であった
日本経済がデフレ(主に物価下落)に陥ったのは構造的な変化(安価な輸入品・中抜き「問屋などを通さないことにより安く販売(流通の合理化)」)が理由ではないかという説が間違っているという説明が分かりやすかった(安くなった商品を買うことで余ったお金を他の物に使えば、全体の物価は上昇するはずなのに実際は下落しているから)
昭和恐慌の時のデフレ克服方法の説明が分かりやすかった
恐慌の原因は金本位制(金の量が増えないとおカネの供給量を増やせない)であったという説明。その為おカネの供給量を増やせるように金解禁(金本位制をやめる事)をまず実行した。
その後、デフレ下のモノの需要減を政府がモノを買う事で埋める。そして政府がモノを買うため発行した国債を日銀が政府から買い取る(国債の日銀引受。戦後は禁止)事で、政府がモノを買う際におカネの供給も増えるようにした。これにより「おカネ供給増→増えたカネでモノを買う→モノの価格UP(カネの価値DOWN)」というインフレ傾向へ移行しデフレから脱却した。
*恐慌から回復したのは財政政策(戦争による軍備拡大のための財政支出)ではなく、金融政策(国債の日銀引受によるおカネの供給量の増加)であった事が説明されており、分かりやすかった(ボクも戦争の支出が呼び水となって恐慌時のデフレから脱却できたのだと誤解していた)
戦後のハイパーインフレ
戦後のハイパーインフレの原因は、戦争でモノの供給手段が破壊されたのに、おカネが大量に供給され続けた(国債の日銀引受を続けた)ためだったという説明が分かりやすかった
現在の日本のデフレをどう克服するか? デフレ脱却から穏やかなインフレの持続を目指す金融政策に転換すべき。
金融政策のレジーム「金融政策の方針・枠組み」という意味
現在国債の日銀引受は禁止されているので、市中に出回っている国債を日銀が買いオペにより購入するという方法でデフレ脱却をはかる(これによりおカネの供給量増加)
この日銀の買いオペと財政支出によりモノの需要を作り出すという政策を組合わせて行なうとより効果が高くなる。又インフレになりすぎないように日銀が3%のインフレを目指して国債買いオペを調整する必要もある。
国債買いオペの効果
市中に出回るおカネが多くなると@株式等の資産に投資する家計・企業・金融機関が増えバランスシートが改善されるA借金返済に回していたおカネが投資や消費へ向かうB株価などが上昇すると高所得者の消費が増える(これを資産効果という)Cドル建て預金などが買われれば円安になり輸入製品の価格が上昇。輸出が増え輸入が減るので輸出産業の製品や輸入品と競争している産業の製品に対する需要が増えるなどデフレが改善される
*国債買いオペで国債を日銀に売った銀行が貸出を増やさなくてもおカネの供給量は増える(銀行は日銀に売った長期国債を市中から買って補充したり、長期国債以外の様々な金融資産を購入したりしておカネを使うから)
デフレを終わらせ1〜3%のインフレを安定的に維持できれば、実質3%名目4〜6%程度の経済成長を期待できる。少子化を防ぐ、財政再建、金融システム問題(銀行の破綻の回避等)の解決、年金医療問題解決、構造改革(不良債権問題解決・非効率な公共投資改善・グローバルな激しい競争)、所得格差の縮小などは、このような経済成長の下、税収も家計の所得も増えていくという環境の方がスムーズに行なわれる。その為デフレを脱却し1〜3%のマイルドなインフレを安定的に維持する金融政策が必要という結論も分かりやすかった。
全般的にデフレとはどういう傾向なのか?とか、なぜデフレは起こるのか?とか、デフレ脱却はどうすれば良いのか?とかが分かりやすく説明されていて面白い
2005年くらいまでの話しかしておらず、量的緩和政策を止めゼロ金利も解除した2007年11月現在の日銀の金融政策は間違っていないのかなどが分からない所が残念だった(ボク的には1〜3%程度のマイルドなインフレを達成しない前に日銀が金融緩和政策を止めてしまったのは時期尚早だと思う。家計のデフレ予想もマダマダ解消されていないので又1997年のように国民負担増や歳出削減があるとせっかく回復してきた景気も悪くなってしまう気がする)。
日銀がやった量的緩和とはどんなものだったとか、マダマダ知りたい事はあるが、ボク的には色々な事が分かり、かなり役に立つ本だった

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日銀が6兆円の大量供給です
日銀は2日、コール市場に計5兆9000億円を供給し、量的緩和への姿勢を明確に示しました。 さらに、国債を担保として資金を供給する「国債買い現先オペ」も、供給額を前日の1兆4000億円から3兆1000億円に拡大し、その上コマーシャルペーパー(CP)など幅広い担保を利用できるオペも含め、合計5兆9000億円の資金を供給しました。これにより短期金利は大幅に低下しています。 いずれにせよ、ようやく日銀も動いたなという感じです。亀井大臣は「日銀はまだ寝ぼけているから」みたいなコメントを... ...続きを見る
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2010/02/27 09:49

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