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<<   作成日時 : 2008/02/25 20:43   >>

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「スティグリッツ教授の経済教室」(ジョセフ・E・スティグリッツ)
世界銀行やIMFなどの国際的な組織はもっと途上国の貧困削減や経済成長を主題にするべきだという主張や誰もが知識を利用できるような知的財産権制度を確立すべきという主張など、とても共感がもてた。又強力な社会的セーフティーネットと経済成長をともに実現している北欧の国々の話なども興味深かった。
2007年までの時事コラムであり、話の内容もタイムリーで興味を魅かれるものが多かった。中々面白く勉強になる本。

世界銀行・IMFの経済戦略「ワシントン・コンセンサス」(政府の役割を最小限に抑え、可能な限り民営化を進め、政府の規制を取り払って、社会的セーフティーネットを縮小すること)
IMFが要求する「資本の自由化」は、経済が好調な時に資本を流入させ、景気が失速したら流出するものであり、景気変動を拡大し、市場のボラティリティ(変動性)を拡大させ、市場の不安定さを拡大させる。IMFやアメリカ財務省の政策形成に大きな役割を果たしている市場参加者達は市場のボラティリティから利益を得る事ができる(好況期に資金がどっと流入する時に利益をあげ、さらに不況期に投売り価格で売られる資産を買い取ることでさらに利益をあげる)のでメリットになるが、その国の経済成長を促進するという観点からは、資本の自由化(それに伴う市場の不安定さの拡大)はデメリットになるという説明が分りやすかった。
東アジアで金融危機が起こった時にIMFが行なった歳出削減と高金利という財政金融政策は、景気停滞を景気後退や不況に追いやり、大量の失業や倒産を生じさせたという説明が分りやすかった
中国やインドが凄まじい勢いで経済成長しているが、全世界が欧米や日本と同じ生活水準を享受する為には、資源の利用効率や消費パターンの変化を伴う新しい経済モデルが必要とされているという説明が面白かった(ただし具体的にどうやって資源効率や消費パターンを変えるかという言及はない)

スカンジナビアの国々(北欧)
充分な社会的保護を提供しながら、経済成長も実現している。
特徴:教育の充実・失職した労働者が再就職するための訓練を支援する積極的な労働市場政策・完全雇用・強力なセーフティーネット・女性の労働市場参加の為の政策(スウェーデン)
セーフティーネットが強力であれば、個人は大きなリスクをとることができ、それが新技術の普及につながっている
北欧のように教育や研究に対する投資と強力な社会的セーフティーネットを組み合わせれば、より生産性の高い競争力のある経済を実現して、全ての人により大きな安定と
より高い生活水準をもたらす事ができるという話が興味深かった

グローバリゼーションで生活が悪化する人(非熟練労働者など)の為に、生活可能賃金を手にできるように、稼得所得税控除や累進的な税制度を導入すべきという提案が良かった

経済はグローバル化したが、政治や思考基盤のグローバル化が遅れている(世界の国々の相互依存の度合いは高まり、共に行動する必要も高まっているのに、これを効果的かつ民主的に行なう制度的枠組みがない)という指摘が面白かった

知的財産制度や研究機関に対する支援
知的財産権の為に他人のアイデアが使いにくくなったら科学技術の進歩が阻まれるという主張がもっともだと思った
特許で薬の価格を高くしても、製薬会社は研究よりも広告や宣伝におカネをかけ、研究も救命医薬品より性的不能や薄毛の改善などおカネになるものに重点が置かれるのはおかしいという批判が良かった
カネのある方へ向けて研究が行なわれ、貧しい人々は薬代を払えないので、社会的コストがどれだけ大きくても、彼らの疾病に対する研究はほとんど行なわれない。故に経済効率に任せるのではなく、医療褒賞基金を政府が支出するなどの対策をとるべきだという主張がもっともだと思った
特許は「高い価格」と「その知識から得られる恩恵を限られた人しか利用できない」という不利益があるという批判がもっともだと思った
知識の進歩が広く利用されるようなイノベーションシステムにする事が肝要で、その為には、知識の私有化・独占化を基盤とし、それ故利用料が高く、限られた人しか進歩の恩恵を享受できない知的財産制度とはまったく別の革新的なアプローチが必要という主張が良かった

第三世界などの貧困の削減(開発政策)
IMF・世界銀行という発展途上国の幸福増進に取り組む機関のトップが、先進国の利害を優先する先進国の中の内輪で決まるのはおかしいと言う批判がもっともだと思った
世界銀行の総裁であったジェームズ・ウェルフェンソンは世界銀行を欧米の経済課題や経済イデオロギーを推進するものではなく、途上国と一緒に途上国の経済成長と貧困削減を追求していくパートナーに変わらせたという話が興味深かった。

イラクの囚人に対する米兵の拷問・虐待に対する批判

ブッシュの金持ちに対する減税が景気を刺激しなかった事への批判
この減税などにより、ブッシュ政権になって、クリントン時代の2300億ドルの財政黒字が4500億ドルの財政赤字へと転落した
金持ちに減税しておきながら、イラクの戦費を他国に分担するよう求めるのはおかしいという批判が良かった
2001年と2003年の金持ちに対する減税の数分の1の額で、公的年金制度は75年維持できる制度に立て直せるという主張が興味深かった
金持ちには減税しても最貧国に援助する金はないと言うブッシュ政権に対する批判が良かった

中央銀行は単に独立性を保ち、物価の安定だけに傾注するのではなく、高く安定した経済成長や低い失業率を達成する事が重要(物価安定はこの為の手段にすぎない)という説明が分りやすかった
労働者は中央銀行が過度の金融引締め策をとると失うものが多いのに決定の場に代表を送ることができない。失業が増えても失うものはないが、インフレには大きな影響を受ける金融市場の声は十分に代表されている。その為インフレ防止・物価安定に重点が置かれ、経済成長や失業率の低下はおざなりにされる傾向にあるという説明が分りやすかった。
中央銀行の独立性より、中央銀行が誰を代表する機関であるべきか(労働者か市場関係者か)を考えるべきという提案が良かった

過去の貿易交渉は、先進国が、その強大な企業や金融機関と手を組んで交渉議題を決め、途上国にメリットがあるかには関心が払われていなかった
今後は
@途上国の主な産業である農業の貿易自由化(例:アメリカの綿花補助金の廃止。これによりアフリカの1000万戸の貧しい綿花栽培農家の為になるし、アメリカの納税者にとっても得になる。困るのは毎年30〜40億ドルの補助金を分け合っているアメリカの豊かな農家だけ)
A非熟練・労働集約型サービス(途上国が競争優位)に対する先進国の門戸解放(非熟練労働者のより自由な移動を認める事など)
を議題にしていくべきだという意見が良かった

途上国への援助の仕方
世界銀行は、援助資金を有効に使った国々への援助割合を増やすという方策が、良いと思った
「ソーシャルファンド」地元住民が自らの手でプロジェクトを設計し、他のプロジェクトと競争して援助を勝ち取る仕組み。これにより開発プロジェクトの住民参加と自助努力が促された。
政府が腐敗している場合にはNGOなど援助を「届ける」相手も考えなければならない

投資より貯蓄のおカネが少ないと、不足分を外国から借金することになる(貿易赤字)。貯蓄には民間貯蓄と政府貯蓄があり、この点で財政赤字(政府貯蓄の不足)と貿易赤字はリンクしている。アメリカの貿易赤字の為にアメリカに流れた他の国のおカネは、他の国の貯蓄をその分だけ減らすので、他の国は実質金利が上昇し投資が減少するため経済成長が鈍化するという問題が発生する。又他の国が米ドル保有をやめたら、為替レートの大変動が起こり世界市場を不安定にするという問題も発生する。その為アメリカの貿易赤字や財政赤字の無制限の増大を見過ごすことはできないという説明が分りやすかった

資源の呪縛「天然資源に恵まれた国はさほど恵まれていない国より概して経済のパフォーマンスが悪いこと」
資源の豊かな国全部が必ずしも経済成長が悪いわけではないが、悪い所の理由は
@何もしなくても富が見込めるので、役人がパイ全体を大きくするより、自分の取り分を大きくする事に精力を注ぐ傾向にある事(富の奪い合いによる内戦や企業が投資して産業を育てるより、政府を買収し市場価格より低い価格で資源を売らせる方が安くつくのでそういう傾向になる事)
A天然資源の価格変動の激しさを乗り切るのが難しいこと
銀行をはじめとする金の貸し手は、資源の価格が下落すると貸した金を回収しようとするので、資源の価格の変動以上に景気の変動が激しくなるから
B天然資源だけでは雇用を創出しないこと
資源景気の結果通貨価値が上昇すると、その国の工業農業製品は輸出しずらく、輸入は増えて、生産者に大打撃を与える。故に豊かな国と貧しい国民を作り出す
という説明が分りやすかった。
これらの対策として、貧しい人々にも天然資源の富が公平かつ有効にゆきわたるよう、民主的で、透明性の高い手続き(競争入札で天然資源を売るなど)を確立したり、資源の価格が高い時に、稼いだ金の一部を安定化基金として積み立てて景気変動を緩和したりするなどの措置をとるべきという説明も分りやすかった

台風カトリーナ
資源には限りがあり、金持ちに減税すれば堤防の修理費用は無くなり、イラクでの採算のない戦争に州兵や予備役を送ったら、国内の危機に対処する兵員は少なくなる。
どちらを選択するかが重要な問題であるという主張が分りやすかった。
台風などの危機の際には市場は機能しないという説明「非難のニーズに応えるためバスをどんどん送り込む事はないし、それどころか、資源を持つ者が持たざる者の窮地につけこんで利益をあげるだけ(近隣ホテルの料金値上げなど)である」が分りやすかった

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コメント(1件)

内 容 ニックネーム/日時
この間はどうもありがとうございました
探していたゆるせない話があったので置いておきます
http://jp.youtube.com/watch?v=mUjERaX8rLQ&feature=related
もう少し収録が後だったら、たむらけんじの焼肉店に
食い逃げが入ってゆるせないというネタが加わったのに・・・
まぁこの6人が話している内容はそんな小さな事が許せないと
思わないでもいいのでは?という内容のモノばかりですね
まだ番組として手探り状態なんだろうなぁとは思いました
風の谷のトモチカ
2008/02/29 15:59

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