ママデューク

アクセスカウンタ

zoom RSS 読書感想文 35

<<   作成日時 : 2009/01/03 23:07   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 0

画像「デフレの経済学」(著 岩田 規久男)
消費者物価指数「消費者が直面するモノの平均的な価格の動きを知る上で重要な物価指数」
GDPデフレーター「消費者や企業が直面する「国内で生産されたモノ」の価格の平均的な動きを知る上で重要な物価指数」

2種類のデフレ
「総需要の持続的減少によるデフレ」(国内総生産の減少を伴う)
「総供給の持続的増加によるデフレ」(国内総生産の増加を伴うデフレで、国内総生産が増加すると、人々の生活水準は向上し、雇用は拡大して失業率は低下する。「良い物価下落」と言われる)
90年代半ば以降のデフレは需要不足が原因のデフレ。

貨幣数量説
貨幣供給量が増えると、実質国内総生産は増えずに物価だけが上昇する
名目賃金は、労働市場が買い手市場なら下がり、売り手市場なら上がる事により需給がスムーズに調整され、経済はほぼ常に完全雇用状態で潜在国内総生産が達成されるという考え

ケインジアン・ニューケインジアンモデル
名目賃金は労働市場の需給に応じて伸縮的に変化しないので、短期の総供給曲線は右上がりになる。調整が終了する長期の総供給曲線は垂直になる(P98 図3−3)
短期的にはニューケインジアンモデルが妥当すれば、貨幣供給量の増加率の低下はある期間にわたって実質国内総生産の減少と失業率の上昇を伴ったデフレ不況をもたらす。
故にデフレ不況克服には貨幣供給量の増加率を引き上げる(それにより物価を引き上げると共に、実質国内生産成長率を引き上げ雇用拡大を図る)事が有力な手段になる
「貨幣の供給量を増やす事は、物価を上げ、貨幣の価値を下げる」という説明(P76〜78)が分りやすかった。

貨幣供給量が減り続ければ、総需要曲線が左に移動し続ける(お金が不足しているので、モノを売っておカネに変えたり、貸付金を回収したり、モノに対する需要が減少するから)ので、物価は持続的に下落し、実質国内総生産も減少し続ける(P80 図2−8参照)。逆に貨幣供給量が増えると、物価と実質国内総生産は増加する(お金が余っている→余分のおカネでモノを購入・他の人や企業に貸付→モノに対する需要(家計の消費や住宅投資、企業の在庫投資や設備投資)が増加し、総需要曲線が右へシフトするから)「ケインジアン・ニューケインジアンモデル」

デフレギャップ(短期。ゲインジアン・ニューケインジアンモデル)
「総需要が不足しているので潜在的国内総生産を達成できないという概念(実質国内総生産と潜在国内総生産との差」)」
実現された実質国内総生産は潜在的国内総生産より小さく、非自発的失業が存在する

解消方法1
名目賃金を下げ、短期総供給曲線を右に移動(P101 図3−4)するとデフレギャップは解消する(但し賃金下方硬直性があると調整に時間がかかる。調整過程で物価が下がると、それを経験した人々は、さらに物価が下がるというデフレ期待をもつ可能性がある)

解消方法2
財政支出増や減税などの財政政策や金融緩和政策(貨幣供給量を増やすなど)で、総需要曲線を右に移動させる(P101 図3−4)総需要拡大策を採るとデフレギャップは解消する

インフレギャップ(短期。ケインジアン・ニューケインジアンモデル)
「貨幣供給量が増え、名目賃金に変化がないと、均衡点は右に移動し、実質国内総生産が潜在的国内総生産を上回る事(実質国内総生産と潜在国内総生産との差)」
名目賃金一定のまま物価は上昇しているので(非自発的失業がないのに)実質賃金は低下→労働者は賃上げを要求→企業は労働者確保のため賃上げ要求に応じる(非自発的失業が存在せず労働市場は売り手市場にあるから)→名目賃金は下方には硬直的だが、非自発的失業がなく企業が生産拡大のため雇用を増やすような状態では、上方には伸縮的である。
賃金の増加は企業の人件費の増加であり、物価が同じなら、企業は供給量を減らしていくので、短期総供給曲線は左にシフトしていく(P103 図3−4)。

解消方法1
物価は上昇し、実質国内総生産は潜在国内総生産まで減少して、インフレギャップは解消する(名目賃金と物価上昇により解消する)

解消方法2
金融引締め政策で貨幣供給量が減っても解消できる(総需要曲線は左に移動し、物価は低下する P103 図3−4)

「貨幣供給量が増えると物価が上がる」というのは、短期では必ずしも成立しないが、5〜10年程度の長期で見るとほぼ成立する(統計「P109・110」から。貨幣供給量の変化率が大きくなると消費者物価の変化率も大きくなるから)

貨幣供給量以外に物価上昇と関係がありそうなもの
1、貨幣の流通速度「貨幣の流通速度が上がるとモノの需要が増え物価上昇、下がるとモノの需要が減り物価下落」
流通速度が低下する理由
実質所得が増えると取引量も増え貨幣が必要になるから(長期的に低下させる原因)
実質所得増加過程で金融資産も増え、現金や定期預金などの貨幣保有も増加するから(長期的に低下させる原因)
デフレになり将来価格が下がった時に買おうとする行動などをとるから(デフレや人々のデフレ期待自体が流通速度を低下させる)
2、実質経済成長率「実質経済成長率が上昇すると、モノの供給量の増加率が大きくなり、モノの需要よりもモノの供給量の方が増加するので物価が下がる」

賃金面からのデフレスパイラル
1、デフレで製品やサービスの価格が下がると、企業はこれまでどおりの量を売っても売上高は減ってしまう。この時名目賃金引下げが難しければ労働者を雇う費用(実質賃金)は上昇してしまう
2、実質賃金が上がると企業は人件費を削減する。今までどおり働いている人の実質賃金は上がっても、時間外労働や雇用量が減らされたり、新規採用が控えられたり、正規社員からパートや派遣に置き換えられるなどの雇用調整がおこなわれるので、経済全体の人々の実質所得は減少する
3、実質所得が減少すれば消費も減少し、製品価格がさらに低下する
4、1〜3のメカニズムが繰返され、失業率は上昇し、実質国内総生産は減少し、景気は一層悪化する(企業は人件費以外の経費も節約するので、企業の投資・その他の支出も抑制され、さらに物価は下落する)
デフレスパイラルに対する対策「おだやかなインフレにする」
穏やかなインフレの下では製品価格が上昇するので、企業は名目賃金上昇率を調整する事で実質賃金上昇の抑制ができるから

高橋是清蔵相財政下の国債引受「日銀が引き受けるのは一時的で、財政支出によって財政資金が市中に出回って銀行の余剰資金が増えると、その時日銀は手持ちの国債を市中銀行に売却して貨幣を回収する」

ダイエーの経営が左前になった理由
ダイエーは店舗の土地を購入。セブンイレブンは土地賃借。地価が下落し、不採算店舗を売っても、土地購入時の借金を返しきれなくなった。
デフレで価格競争が激化し、単価減少により売上が大きく減少して、借金の返済に追いつかなくなった

ゼネコン不況の原因
建築するだけで地下暴落の影響を受けないゼネコンが不況になったのは、バブル時に注文をとろうとして、建築主の債務を保証するという戦略を取ったのが原因(バブルがはじけて建築主が賃貸収入で借金を返せなくなり、ゼネコンがその借金を肩代わりした)。
借金返済のため売上を伸ばそうと安値受注合戦をして、建築単価を下落させ、売上高が減少する。そしてまたさらに安値受注合戦をするという悪循環になっていたのもゼネコン不況の原因

物価の下落は、名目賃金と名目金利が下方硬直的である経済の下では実質賃金と実質金利を上昇させる事により、総需要と生産および雇用の減少をもたらす為、物価はさらに下落する

デフレ不況下で最優先すべき構造改革
規制などによって参入が妨げられている為民間投資が起きない分野での規制改革(例:都心の容積率規制の緩和による超高層の都心住居型マンションの建設誘発)
民間投資を呼び込むような公共事業投資(例:東京都の道路渋滞を大幅に緩和する環状道路の建設「道路完成につれ、その周辺にビル建設等の設備投資を呼び込む」)
*短期には需要を創出して景気対策になり、長期には投資された設備や社会資本が生産能力化するから潜在成長力を高める

80年代の米英の構造改革
80年代に米英が苦しんでいたスタグフレーション(インフレと失業が同時に起こる)は「需要の増加に供給が追いつかない為に生ずる現象だから」供給を改善する米英流の構造改革は正しい政策だった。

歴史に学ぶデフレ脱出策
1、デフレ下で需要創出型以外の構造改革を進めれば、デフレスパイラルに陥るリスクが大きい。需要創出型以外の構造改革を進める前に、デフレから脱却する政策を優先すべき
2、デフレから脱出して経済を正常な状況に戻すためには、デフレ政策からリフレ政策へと政策レジーム転換をはっきりと宣言し、人々にその政策レジーム転換を確信させ、それによってデフレ期待を完全に払拭する事が重要である
3、人々のデフレ期待の払拭を確固たるものにするには、貨幣供給量の大幅な増加と為替レートの切下げが有効である
4、人々の期待を、デフレから、デフレの収束あるいはインフレ期待へと変化させるためには、金融政策担当のトップが、自らの政策の効果を確信した人代わらなければならない

2001年に行われた「量的緩和」
コール市場「金融機関の間で資金を融通しあう市場」
日本銀行当座預金「銀行が日本銀行に持っている当座預金」
準備預金制度「銀行はそれが受けている預金(人や企業がその銀行に預けている預金)に対して一定比率の日銀当座預金を保有しなければならないという制度」

貨幣供給量を増加させる
1、銀行が企業に一億円貸し出す。
  銀行が貸出をするとき、銀行は企業にその銀行の預金口座を作らせ、一億円の貸出金を入金させる。預金は貨幣なので、銀行が貸出を増加させると貨幣供給量が増える
2、銀行が証券会社の国債などを買う
  銀行は証券会社の国債を買う場合、銀行は証券会社の預金口座に入金する事で国債などの買取代金を払う。故にこの場合も証券会社の預金が増えるので、貨幣供給量も増加する
*1、2で預金が増えると、銀行が日銀の口座に預けるお金(日銀当座預金の準備預金)も多くしなければならない。この準備預金が不足する場合、銀行はコール市場で他の銀行からそのお金を借りる
 
日銀が銀行から短期国債を買って銀行の日銀当座預金を増やし、コール市場で他の銀行から借りなくても良いようにする。そうするとコール市場の利息も下がる。
 満期の短い期日物の利息が下がれば、皆満期の短い期日物の利息で借りようとするので、満期の長い期日物の需要が減り、「満期の長い期日物の利息も下がる」(「」が狙い目)

コール市場の金利が下がれば銀行の貸出費用が低下するので、銀行は低い金利で貸出しても採算が取れ、貸出金利を引き下げより多くの資金を貸し出そうとする

地銀(地方銀行)は準備預金以上の日銀当座預金を持っていて、不足している都銀などにコール市場を通して貸していたが、コール市場の金利が下がると、地銀はそのお金を地域の個人や企業への貸出に回す
コール市場の金利が下がれば、銀行が証券会社から国債などを買い入れ預金を増やしても、準備預金を増やす費用も安いので、国債などの買い付けがどんどん行われる。CPや債権の投資の増加により、CPや債権の金利は低下する

コール市場で運用する信託銀行が、コール市場の金利の低下で運用を普通預金に変える。そうすると銀行は普通預金を集める上で優位になり、普通預金の金利を低下させる事ができる。普通定期の金利低下を嫌って定期預金への切り換えが増えれば、銀行は定期預金でも優位になり定期預金の預金の金利も引き下げる事ができる。銀行は預金での資金調達が容易になり、貸出金利を引き下げた貸出、CP・国債・社債などの投資が増える

コール市場の金利をゼロに誘導する方法(金利ターゲッティング)では、銀行はゼロ金利で充分な日銀当座預金保有が可能になり、日銀が日銀当座預金を供給しても銀行に届かず、貸出も国債への投資もしない短資会社などに積みあがって貨幣供給量が増えない

マネタリーベースターゲッティング
「現金通貨(日本銀行券と硬貨)と日銀当座預金とから構成されるマネタリーベースの供給量について目標値を定め、日銀が目標に向けてマネタリーベースを供給する事」
例:2001年の量的緩和政策では「日銀当座預金を5兆円に増額する」という声明が出され実施された(しかし5兆円では少ないとの事)
方法:国債の先買いオペ(日銀が銀行から国債を買い、あとで銀行は日銀から国債を買い戻す)から買いきりオペ(買い戻さなくて良い)に変え、銀行が自由に使えるお金を増やす(*長期国債買い切りオペも、銀行の日銀当座預金を増やし(日銀が国債を買った代金が日銀当座預金に入金される)、しかも日銀に返さなくて良いので、銀行が自由に使える資金が増える)

銀行の個人や企業への貸出が増えれば、設備投資・消費を増大させ、企業売上も増加し、雇用所得も増加する

デフレ不況から脱出するには、日銀が米国債の買い切りオペをし、円安・ドル高にする事も効果的である

在庫投資も投資であり、総需要の構成要素の一つと説明されていたが、イメージしずらかった(在庫というと売れ残り在庫のイメージがあるから)

全般的に
分らない所も多々あり、理解も不十分だけれど、とても勉強になる本だと思った。
金融緩和政策と需要を創出する財政政策をうまく組み合わせて、ナントカ2009年のデフレ不況からできるだけはやく脱却して欲しいと思った。1997〜2003年の頃のデフレ不況と異なり、2009年の不況は日本だけでなく世界全体が不況なのでよりキビシイとは思う(「円安にする為替政策を財務省が行い日銀が非不胎化介入する」という2003年のような景気回復策はとりずらいから)けど・・・・。

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
読書感想文 35 ママデューク/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる