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<<   作成日時 : 2015/09/23 14:44   >>

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「経済学の宇宙」(著:岩井克人)

○産業資本主義は、安い労働力(費用)で、生産性の高い機械を使い、生産性をあげて商品の売上(収入)を上げる、収入と費用の差額が利潤になる。農村の余剰人口が枯渇し安い労働力が維持できなくなると利潤がでなくなる。
○ポスト産業資本主義。「差異から利潤を得るという原理」(産業資本主義のように安い労働力と機械による高い生産性の差異だけではない色々な差異から利潤を得る)。
○貨幣は貨幣として皆が通用すると思うから貨幣として通用するという自己循環論法。貨幣には貨幣自体にはない「社会的信認」が必要。
○需要と供給は価格の上下で自然には一致しない。ケインズは賃金の下方硬直性で、デフレ不況で人減らしする労働供給超過の場合でも現在雇われている人の賃金(価格)は下がらない(その為に首切りや新規採用の抑制などで失業率は高まる)と主張。その為に失業率が高まり賃金の下方硬直性も効かなくなってくると恐慌になる。
○恐慌は物を買わずお金を貯めておく事になるので、貨幣が貨幣として通用する事を信じるのが強くなる状態。ハイパーインフレは貨幣が貨幣として通用する事を信じなくなる状態で、ハイパーインフレになると欲望の二重の一致を回避し交換の範囲を広範に広げる貨幣の機能が失われ、物々交換せざるを得なくなり、経済が麻痺してしまう。故に中央銀行は短期的には恐慌という例外状況において最後の貸し手として積極的な金融緩和をするべきだが、長期的には通貨価値の厳格な番人としての役割も果たさなければならない。
○会社は株主にモノとしての株式を所有される一方、ヒト(法人)として会社の資産を保有したり、会社が活動する上での供給者や購買者や従業員や銀行などとの契約もヒトとして行う。裁判もヒトとして会社自身が原告・被告になる。
○会社をモノとする会社乗っ取り(支配株主が株式を50%以上支配)。会社をヒトとする会社自身の株式の相互持ち合い。英米系は会社をモノとして株価最大化を経営目標とする会社システム。日本は会社をヒトとして従業員組織の自律性を重視する会社システム。
○法人(会社のヒトとしての活動)として機能する為には「社会的承認」が必要。現在は国家が法律で法人を承認。社会的承認が必要な法人は、社会的存在であり、社会的な責任を伴う。
○個人企業の場合、会社のオーナーが経営者を雇う場合委任契約。会社の場合ヒトとして会社の活動をする為には自然人である経営者が必須で、経営者を置く事が法定されている。会社と経営者の関係は信任関係
○契約「対等な人間同士の関係」で自己責任。信任「対等性を欠いた人間関係」で専門家の方が忠実義務を負う。忠実義務は「倫理」を要求するもので、「自己利益追求」を前提とする経済の中核をなす会社の統治などに「倫理」が要求されるのが驚き。
○人は自分自身と契約できない(自己契約禁止の原則)。信任関係も自己契約で、契約で考えるのは不可能。専門家に自発的に倫理を促したり、法的義務を課して信任関係を守らせる。
○最近の米英の所得格差拡大は、ピケティの資本収入の格差よりも経営者の報酬高騰が理由。株主主権で株主が賛同すれば経営者の会社に対する忠実義務免除の可能性が開かれているのと、株価最大化を促す為ストックオプションを採用したり、お手盛りで報酬額が決められているのが、最近の米英の経営者の報酬高騰の理由。
○貨幣は、「モノとの交換」という目的から、「貨幣でモノを買って、モノを売って貨幣を得る」という交換の出発点と同時に目的点にもなった。そうなると出発と目的の違いは量だけ。出発点より目的点の貨幣を拡大させる事(「資本主義」という経済活動)を目指す事になる。
○共同体に必要なモノを手に入れるという有限性と貨幣の自己増殖という無限性。共同体が成立するのに必要な貨幣が共同体の存続を切り崩す可能性を孕んでいる(貨幣の自己増殖は貨幣を手に入れる事自体が目的となり、「共同体の役に立つ事」にはならないから)
○物理科学・生命科学だけでなく、社会的実在である人間科学(貨幣・法・言語)も重要で、人間科学は単なる好みや政治的イデオロギーに過ぎないのではなく、科学的に研究する価値がある。貨幣・法・言語自体は人間の中にあるものではなく、社会の中の他の人間によって与えられる「外部」なので、脳科学や遺伝子研究等の生命科学では解明できず、それを対象とする人間科学を研究する価値がある。
○人間科学を研究する理由は、言語・法・貨幣が人間の自由を広げる反面、それ自体が目的になったり崩壊したりする事により、社会の危機・人間の危機を発生させる両義性があるから。

頭の悪いボクが考えた要約
不均衡動学「需要と供給は価格の上下で一致するという安定した経済観に対する批判」
貨幣「貨幣は貨幣として通用すると皆が思っているから貨幣として通用するもの。交換の範囲を飛躍的に広げるメリットがある反面、貨幣の自己増殖を目的にしていたり、貨幣として通用しなくなる危険があるので経済を不安定にするデメリット(恐慌やハイパーインフレ)もある」
資本主義「差異から利潤を生み出し続ける活動」
法人「株式として所有されるモノとしての一面がある一方、ヒトとして会社資産を所有したり、契約など会社の活動を行ったりする」
信任関係「専門家の方が「倫理的」に相手の為になる事を行う関係」(普通の契約の場合でも情報の不均衡がある場合は、いつもこの「信任」という倫理を働かせるべきではないかとボク的には思える)。
人間科学「物理・生命科学では解明できず、人間社会の自由を広げる反面、人間社会の危機も発生させるので、その詳しい研究が必要な学問。具体的には言語・法・貨幣を対象にした研究」

全般的に
本が分厚かったけれど、貨幣論・資本主義論以降からはとても面白く読めた(最初の方の英米の経済学の理論・動向の話は分かりづらかった)
貨幣論・資本主義論・法人や会社統治の説明はボク的には簡潔で分かりやすかった(これ以前の岩井さんの本読んで、その理論に馴染んでいたからかもしれないけれど)。
読んでいると国際的な学者の気分を味わえるのも面白かった。
とっても「読み応えのある本」。

おまけ
「二十一世紀の資本主義論」(著:岩井克人)

ケインズの美人コンテスト
「他の人が美人と予想する人に投票する事により、主観的な美からも客観的な美からも遠ざかってしまう状態」
1、投機はモノと関係している間は経済を効率化させる。
2、専門的な投機は特殊なものでも不合理なものでもなく「分業の結果」
3、専門的な投機は、「合理的」にケインズの美人投票のように他の人が美人と思うかのように他の投機家の行動を予想して投機を行うので、実体経済とはどんどんかけ離れた投機が行われ、経済が不安定化する。
4、投機活動=金融市場により、経済は生産や消費が効率化する反面、市場を不安定にする二律背反が生じる。

世代重複モデル
若者がすぐ腐る消費財2個を生産。老人は若い頃作った消費財は今は持っていない。貨幣の無い経済では老人は交換する物が無いので若者から今ある消費財を貰えない。貨幣を導入する事で老人は貨幣と交換に若者の持つ消費財を貰う事が出来る。最適な資源配分は自由放任主義的な市場交換だけでは実現できず、貨幣が不可欠。貨幣が貨幣として通用するのは、無限先の人達まで貨幣として通用すると予想するから(貨幣の無根拠による不安定さ)。無限に予想されれば貨幣を流通させた老人は貨幣発行益(シニョレッジ)を受け取り、無から有が生まれる。有限な資源をいかに効率よく配分するかという経済にとって、効率的な資源配分を成立させる為には、無限性がありいつ通用しなくなるか分からない不安定な貨幣の存在が不可欠というお話(有限性に無限性が必要不可欠という逆説)。

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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
信任の崩壊防止は、情報不均衡の是正でよい?
それは単独の倫理のみを要求してるから矛盾してる。
専門家単独で信任は成立しえないから、与信者関与は必須。
その前提で情報均衡必須。
となると、与信側に専門家と同等以上の準備努力が必要。
俯瞰すると、信任関係双方の情報均衡の為の努力を要求してる。
信任の崩壊は、状況による主犯従犯の別あれども、専門家と与信側双方の怠慢である。
与信側の情報過多なら、情報均衡努力が最優先で、それをせずに利益追求するのも怠慢。
とこしえ
2015/09/23 19:41
とこしえさんコメントありがとうございます。
人はそれぞれ違うし、環境も違うので、信任関係以外でも情報の非対称性は必ず出てくると思います。勿論専門家の方が説明責任を追って相手側に分かりやすく説明すべきなのかもしれませんが、会社では専門家(経営者)・相手方(会社)なので説明のしようがありません。又この本での信任関係では医師と意識不明の患者とか後見人と被後見人とか、相手方が理解する能力を欠く場合を例にあげていました。そういう「非対等の関係」において専門家の方は相手の為になるように行動する「倫理」(会社では経営者の忠実義務)が必要という話でした。
信任の崩壊は、結局信任関係は専門家自身の倫理に任せられるので、自分自身の事なので専門家はどうにでもできるけれど、信任関係を守らせる為に法律によって義務を課し(会社においては経営者の忠実義務が会社法にある)、英米の裁判では信任関係違反の事実が提出されたら専門家の方が新任関係違反の事実がない事を反証しないと信任関係違反が認められる「推定有罪」によって、法的に信任関係の崩壊を避けるようにしていると本の中では説明されていました。
それでは失礼致します。
それでは失礼致します。
ママデューク
2015/09/23 20:07
ママデュークさんこんにちは お久しぶりです
2015年DeNAベイスターズにドラフト指名された選手の
動画があったので置いておきますね
1位 今永 昇太 投手
draft-bbs.net/2015imanaga.s.html
2位 熊原 健人 投手
draft-bbs.net/2015kumabara.k%20(3).html
draft-bbs.net/2015kumabara.k%20(4).html
3位 柴田 竜拓 内野手
draft-bbs.net/2015shibata.t%20(2).html
4位 戸柱 恭孝 捕手
draft-bbs.net/2015tobashira.y%20(2).html
5位 綾部 翔 投手
draft-bbs.net/2015ayabe.s.html
6位 青柳 昴樹 外野手
draft-bbs.net/2015aoyagi.k%20(2).html
7位 野川 拓斗 投手
www.youtube.com/watch?v=9YGfzzSrqd0
育成1位 網谷 圭将 捕手
www.youtube.com/watch?v=zZvv0kxLX68
育成2位 山本 武白志 内野手
draft-bbs.net/2015yamamoto.m.html
育成3位 田村 丈 投手
www.youtube.com/watch?v=iKDG9BzoNBY
今年DeNAドラフトは即戦力投手、内野手、捕手、右打者と
弱点を補強していますが普通なんですよね
なんか小さくまとまってる選手多いなぁと
山本 武白志は育成なので大学や社会人に
進むかもしれませんがスケールが大きくて面白そう
個人的には地元東海大相模で甲子園優勝投手小笠原や
身体能力高いオコエが見たかったですね
それではまた〜
風の谷のトモチカ
2015/10/23 15:50
風の谷のトモチカさんコメントありがとうございます。
動画また時間のある時に見てみます。
今年のベイスターズはなんだったんでしょうね。最初は三嶋・須田・山口あたりの投手まで活躍していたのに結局先発2桁勝利無しですもんね。
打線も筒香がブレイクしたくらいでフランスパンかじったにはイマイチだったし。
しかし今年はベイスターズほとんど見てないに等しく、このコメントもホームページの成績みて書きました。
話は変わりますが、今年は個人的にキツイ一年でした。一年通して落ち込みがちだったし、パソコン(今は新しく買ったノートパソコンで書いています)その他家電製品は次々壊れるし、仕事も長岡さん三森君がいなくなるし、そして母が腎盂腎炎で一度目の入院をし、11月には腎結石の手術で二度目の入院も決まっています。厄年だからと西新井大師でお護摩してもらいましたが、厄除けは出来なかったです。今年は映画や野球もほとんど見ず、いやがおうにも将来の事など色々考えさせられる一年でした。それでは失礼いたします。
ママデューク
2015/10/23 23:40

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